歳時記|3月 弥生(やよい)

世界にひとつだけの味

この季節になると何かを始めようとやる気スイッチが入ります。普段手をかけないお料理だって、腕をふるって作りたくなる。今ではレシピ集が山のようにあるけれど、世界にひとつだけのレシピ「母の味」は、きちんと受け継いでいきたいもの。

トントンしている母さんの隣で、見て聞いてみましょう。家族の元気の源はここから始まっています。

見て 食べて 心躍る春

この時期、街中の桜色を見つけては心躍らせているのは、私だけではないはず。

「桜前線」「花冷え」「花曇り」「花時」など桜にまつわる言葉も多く、JR東海の有名なポスター「桜の開花がニュースになる国って、すてきじゃないですか。」というキャッチコピーに、当時心から頷いたものです。日本人にとって特別な花であることがよく分かります。

桜は、その美しい姿を眺めるだけでなく味覚で楽しむこともできます。摘み取ったばかりの花びらを、ひとつひとつ丁寧に塩漬けにすれば、ほのかに香る春の出来上がり。この桜の塩漬けにお湯を注ぐだけで、趣深い「桜湯」になります。湯のみの中でふんわりと花弁がほぐれ、花開くその姿はとても愛らしい。心にもポッと春が来た気持ちになれます。

日本人の魂に刻み込まれた花。今年は、見て、食して、春を楽しむのもいいですね。