歳時記|9月 長月(ながつき)



―豆と暮らす生活― 枝豆はやっぱりスゴイ奴

「Tofu=豆腐」と同じく、「Edamame=枝豆」は世界共通で通じる日本語です。日本食ブームの影響により世界的にもとても注目されている枝豆は、たんぱく質・ビタミンB₁・カリウム・鉄分が豊富に含まれ、特に必須アミノ酸のメチオニンはアルコールの分解を助け二日酔いを抑えてくれます。カロリーは、なんと大豆の約半分。加えて、大豆たんぱく質(大豆グロブリン)がコレステロール値を低下させてくれる効果も。ビールに枝豆の組み合わせは王道ですが、あながち間違いではないようですね。飲み会の多いお父さん達の強い味方です。

枝豆の栄養素には水溶性のものも多く、茹でて調理すると水に流れ出てしまいます。水を使わないで電子レンジで調理をすると、今度はたんぱく質が壊れてしまいます。枝豆の栄養素をできるだけ逃さず身体に取り込むには、実は、蒸し調理法がオススメなんですよ。塩もみした枝豆の約1/3重量の水で蒸せますので、今夜は秋めいてきた夜風と虫の音を楽しみながらビールと蒸し枝豆で乾杯といたしましょ。



偉大なる大豆様

豆腐の主原料である、大豆。この大豆と日本人の関わりは古く、古事記や日本書紀をみると、大豆自体は小豆と共に縄文時代頃には伝わってきているようです。その当初から、炒る・煮るなどの加工を加えて間食していました。ちなみに豆腐は、奈良時代に日本に伝わり、本格的に庶民の食べ物として食べられるようになったのは江戸時代。豆腐百珍という初のレシピ本が発行されるほど、庶民派の食材でした。

最初に大豆が伝来してから数千年、現代の私たちの食卓には大豆を加工した食品で溢れています。味噌・醤油・豆腐など、大豆の形でなくとも、知らず知らずのうちに毎日食べているはずです。大豆との関わりの親密さは、言葉や行事にも見られ、現在「豆」を使ったことわざは、なんと約16種も。毎年二月の節分には、大切なたんぱく質源であるはずの炒り大豆を厄払いの意味で投げます。

大豆という名前は「大いなる豆」つまり、「豆の中でも一番」という意味だそう。一番と名付けられたことにも、今の生活への密着度を見れば納得です。こうして数千年来日本人に寄り添ってきた食材「大豆様」に改めて感謝し、日々の食事に取り入れていきたいですね