だし文化を深く知る
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから早五年。中でも、だし文化、旨味というキーワードは、他国にはない要素として注目されています。日仏合同でだしをテーマにした映画が製作されるほどです。
人が感じる基本の五味は、甘味、塩味、酸味、苦味、そして旨味。日本では、旨味の素、だしは、昆布、椎茸、かつお、にぼし、今流行のあごなどで構成されています。そもそも旨味成分とは、魚や野菜から出るエキス。それをベースにすることで、料理に味わいと深みで出て、食べる側の満足感も上がります。人は、お腹の満腹感だけでなく、脳の満足感でも食べてしまうことから、旨味によって満足感が向上するという、実に理にかなった成分なのです。
無形文化遺産は料理の素晴らしさだけでなく、その背景にある文化にも着目されます。四季があることから、食事を通じ、自然を感じて、それを大切に守ろうと人々は慈しみます。更に、歳時記を通じて、食を中心に家族でその時間を共有し、後世に語り継いでいこうという姿勢。実は、毎日、毎年何気なく行う食事、行事ごとが、文化を守ること、そして、自然を守ることにもつながっていくことだと改めて感じています。
わたしの体験記 だいずきっず ~大豆収穫編~
わたしたちの会社でボランティアサークルから始まった食育活動「だいずきっず」。子供たちが一年を通して大豆の種まきから収穫、豆腐づくりを体験し、食に関わることへの大切さを分かち合い、体感していただく場として、十二年の歴史を刻んできました。
今年も十二月初旬に大豆収穫が行われ、自分自身にとってもはじめての体験に、ドキドキ、ワクワクで畑に向かいました。畑には一面、力強く根を張る大豆の苗がたくさん。子供たちの力では、収穫するにはちょっぴり大変そうでしたが、大豆の苗がスポンッ!と抜けると満面の笑みで、ご両親と顔を見合わせていました。その姿はとても微笑ましく、寒空の下、こちらの心までがとても温まりました。
大豆は日本の食生活にかかせない食材なのに、どうやって育って、収穫しているか、わたし自身も入社するまで実は知らないことでした。子供たちに教える立場ですが、恥ずかしながら一緒に学んでいる状態(トホホ)。子供たちにとって、今日の体験が、食べることへの興味、そして考えるきっかけになってくれたらいいなと思う私の収穫体験でした。