歳時記|2月 如月(きさらぎ)

まめとくらしの研究所 インタビュー〜三河でつくるみりんの魅力とは〜

料理の脇役として活躍するみりん。その仕込みは秋と春に行われるのが主流です。そこで、今回はまもなくみりん仕込みが始まる愛知県碧南市にある杉浦味淋株式会社の代表取締役杉浦嘉信さんにお話を伺いました。

―みりんの歴史について教えてください。 杉浦社長 みりんは室町時代に現在の形ができ、江戸時代には甘味として重宝されました。また愛知県三河地方は、矢作川の豊富な水や良質な土地から醸造業に最適で、みりん以外にも白醤油や日本酒なども多くの蔵が立ち並ぶ地域です。

―三河地方のみりんの特徴を教えてください 杉浦社長 三河地方のみりんの特徴は「粕取り焼酎」という、清酒粕を蒸留させた焼酎を使用すること。出来上がったみりんは、そのままリキュールとして飲めるほど風味もよく、雑みのないまろやかな味わいです。また、原料は、米・米麴・粕取り焼酎の3つのみ。その他の物を入れない、米の甘みが活きた調味料です。熟成期間を短くし、ブドウ糖で甘みを足したみりんもありますが、糖類を添加した製法のものは、そのまま飲むことはできません。

琥珀色をした本物のみりんができるまでは、仕込み始めてからなんと1年半以上。一般的なみりんと比べて4倍以上も製造日数がかかります。「伝統製法で造り上げるみりんを継承していきたい」と杉浦社長は言います。このお話を通して、料理の脇役という名では惜しいくらいの三河みりんの手間隙に、日頃手に取る調味料の知識をきちんと知ることの大切さを学びました。

すしの歴史

日本人にとってハレの日の食事といえば「すし」。歴史を辿れば最も古いのは、魚に塩をつけて御飯と共に発酵させた保存食の「なれずし」。時代の流れで早すし文化が生まれ、現在のにぎりやちらし寿司など酢を御飯に混ぜるものが食べられるようになりました。日本人のせっかちさと水が綺麗な日本の米の美味しさがこの早すし文化を生んだのでしょうか。地域の特性と人の融合が各地の食文化をもたらす。やはり日本の食文化は面白い。