豆と暮らす生活 -五月の豆-
「五月豆」と呼ばれる豆をご存知でしょうか。
その名の通り五月に収穫される代表的な豆で、「そらまめ」のことを指します。「空豆」「蚕豆」とも呼ばれる「そらまめ」は一年中食べられるわけでなく、季節性の高い野菜で出回る時期は五~六月と短め。大ぶりのさやと実には独特の存在感があり香り豊かで味も濃厚、ホクホクとした食感が美味しく初夏の味とも言われます。
塩茹でするだけでも立派なおつまみになりますが、バーベキューを五月にするのであれば、是非とも炭火でさやごと炙ったそらまめをオススメします。より甘く・濃厚で・香り高いそらまめを味わうことができます。一年の内でもこの時期にしか食べられない味ですので、是非とも採れたてを楽しみたいですね。
そらまめはさやが大きくお子様でも簡単に扱えるので、一緒に調理するのに最適。自分で剥いたそらまめは、一層美味しく感じます。あの加熱前の青い香りと共に、思い出の一つに残るはずです。
精進料理と豆
日本の伝統的な料理形式のひとつ、「精進料理」。「不殺生戒」を原則とする仏教の教えにより肉や魚を一切使わず、穀物・野菜・豆類などの食材だけでつくられた料理を指します。野菜中心の精進料理にとって、栄養価が高く、貴重なたんぱく源となったのが大豆。大豆は生食が困難なため、風味を向上させ長期保存し、食べる者を飽きさせない、といった目的も含めて味噌・醤油・豆乳・湯葉・豆腐・油揚げ・がんもどき・納豆などに加工する技術は、精進料理の考えから発達したと言われています
植物性の食材を使い、見た目や食感を動物性の食材に似せた「もどき料理」は、肉や魚の代用品として生まれました。代表的ながんもどきの他にも、豆腐を鰻の蒲焼きに見立てた料理も今からの時期おすすめです。もめん豆腐とれんこんを混ぜ、のりを付けてこんがり焼き、甘辛いたれをからめて作る、簡単でヘルシーなもどき料理です。
こうした大豆を活用した多くの日常食は日本のお坊さんたちの精進料理から始まったものと考えると、少し敷居の高く感じる精進の世界が、もう少し身近に感じると思います。体にもやさしい精進料理を日々の食生活に取り入れていきませんか。(しお)