歳時記|4月 卯月(うづき)

お料理上手は段取り上手

一日二十四時間。限られた時間の中で、家事をしたいのが本望です。
今では、便利な商品や道具がたくさん世に出ていますが、今あるもので「工夫」はできるもの。表面のレシピで紹介している~春キャベツと鮭と油揚げの蒸し煮~は、「素材選び」と「無水調理風」がポイントです。

まず、素材は甘塩鮭を選ぶことで、下味があって生臭くない=下処理要らずなものを選ぶ。そして、春キャベツにはフレッシュな水分がたっぷり含まれているので、加水しなくても、野菜の水分で充分調理ができます。また、水分を減らすことで、調味料を減らすことが可能=減塩もできます。もともとの甘塩鮭の塩分も活用でき、動物性のもの従来の脂もあるので、油分カットも可能。まさに素材選びと加工方法を上手に段取りしたメニューになっています。

無水調理は今流行の専用の調理器具を使わなければ、できないイメージがありますが、「風(ふう)」だったら、家庭にあるテフロン加工の器具で充分です。プロの料理人と違って、家庭料理は家にあるもので仕上げてこそ、継続できる工夫。暮らしの知恵袋は永遠に、わたしたちの味方ですね。

豆と暮らす生活 ―豆も出世する―

「さやえんどう・グリンピース・えんどう豆」、この三つがどう違うか分かりますか。実は、全て同じ植物からできているんです。成長過程や、食べられる部分によって名前が変わっていきます。何だか出世魚みたいですね。

一番若いのが、さやえんどう(きぬさや)。黄緑色でシャキシャキとした食感で、さやごと食べます。次に、グリンピース。癖のある青臭い味で、小さいお子様には嫌いな方も多いのでは。少し長めに茹でると、青臭さが和らぐそうですよ。最後に、成熟した状態がえんどう豆。一番色も濃く、癖の少ない味が食べやすいです。

このような成長過程によって名前の変わる植物は、私たちの身近な所にもまだまだ存在しています。例えば、豆腐を作る原料となる「大豆」。夏のおつまみに最適な「枝豆」と同じ植物ということをご存知でしょうか。風味も固さも色合いも全て異なるこの二つ。お豆腐教室に来て下さる子供たちに説明すると、本当に驚いた表情で熱心に聞いてくれます。

成熟具合によりまったく違う顔を見せてくれる豆は、非常に興味深い植物だと改めて感じます。豆の魅力またひとつ発見です。