歳時記|5月 皐月(さつき)

ひとえに冷奴といいましても

豆腐の調理法は無限大で、江戸時代に日本で初めてのレシピ本として「豆腐百珍」という百種の料理を紹介する本が発行されていたほど。調理次第で何色にも染まりやすい魅力的な食材だったことが伺えます。

流行の食材とかけ合わせても、どんな食材とも共存しあう冷奴が世界のスタンダードに、なんてことも遠くない話かも。

わたしのお気に入り ~たまり醤油編~

日本人にかかせない調味料のひとつ「醤油」には、濃口醤油、薄口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油の五種類があり、それぞれ相性の良い食材があります。一般的には、濃口醤油が家庭の台所に常備されていますが、ここ愛知県では「たまり醤油」と「白醤油」を作っている蔵が多くあり、醸造文化に興味がある人には嬉しい土地柄なんです。

個人的に味噌がとても好きで、中でも赤味噌派な私はたまり醤油が好み。もともと、豆味噌を作る工程でにじみ出た液体が美味しかったことから始まった醤油なので、豆味噌が豊富な愛知県ならではの醤油であることがわかります。

たまり醤油は色が濃いので辛いと思われがちですが塩分は白醤油の方が高く、まろやかな味わい。なかでも私のお気に入りは、知多郡武豊町にある南蔵「つれそい」。使っている塩もこだわりの天日塩。香りも芳醇で、特にもめん豆腐と相性が抜群です。よく考えたら「豆+豆」なので相性が良いのも納得です。知れば知るほど奥が深い醤油。食べ物によって変えてみるのも通な楽しみです。